あこ博士の世界塔

ところが全てが夢なわけでもないし、そもそも全てと呼べるものなど無い!

clint eastwood

7月の中盤あたりの話だろうか。伯父さんがロックフェスティバルに誘ってくれた。その頃の私と言ったら学祭で軽音部のライブにうち痺れていて熱もまだ冷めていなかった。一応私も軽音部員だが、部活に入る前から楽器やってる人間には届くわけないし別物だと思う。あんなに初心者歓迎を煽っていたくせに。一緒に部活に入ってくれた友人が「経験者ばっかだったら入りたくない」と言ってた意味が今ようやくわかったよ。しかもその友人、来年はバイトとか入れてて練習来れないとか言ってるし。グミチョコレートパインも楽に作り上げれるものじゃない。

話が逸れましたね。伯父さんの職場では毎年社員旅行と台打ってロックフェスティバルに行くらしい。私がロキノンおじさんだと知っていた伯父さんは今回のジョインアライブに誘ってくれたわけである。
ジョインアライブ。ライジングサンフェスイティバルに比べれば歴史は浅いし小規模ではあるが、サカナクション、ナオトインティライミ(一応去年トリを飾ったアーティストを挙げたがナオトのコレジャナイ感がすごい)などが出演している。しかもそれをフェスが開かれる一週間前、しかもチケットがまだ取っていない状況で誘われたのである。チケットを取らないで後悔するより取れないで後悔した方がいい。そう思い私は「行きたいめう」と返事した。ちなみにそのときチケット代は直前にあった私の誕生日プレゼントに立て替えられたことはそのときまだ知らない。

今回の出来事の特筆すべき点は「女子大生とロックフェスに行った」ことであろう。
どうだこの文字の並びだけで興奮するというかときめくだろう。もちろん一緒には廻っていない。音楽の趣味は人それぞれだから単独行動が基本である。でもさ、男子高校生が女子大生とフェスに行くって近親関係以外でどんなきっかけで出来るのだろう。今回の出来事は自分の行動管理力の無さが浮き彫りになった出来事ではある。でもそれを超えるものを手に入れられたのは確か。私はあんまり青春って言葉は使わず生活してきたが、これはもう青春としか形容できない。何故ならそれ以上の言葉を探ると気持ち悪い感じになってしまうから。

本質を書いたところで話は伯父さんの車の中に移る。後ろの席でキャッキャッとはしてないもののこそこそお喋りしている女子たち2人に私は前のめりで微笑んでいた。知ってます?助手席で前のめりになるとバックミラーが見えなくなるんだよ。車の中ではTHE BAWDIES桑田佳祐の曲のように流れている。

THE BAWDIES - IT'S TOO LATE
途中セブンイレブンで飲み物を買う時間が与えられた。女子大生はほろよいを買うなか、私はファンタハチミツレモンを買ったことを覚えている。気分が盛り上がっていない以上に私が未成年であることが原因である。私だって酒飲んで最強になりたい。

会場の岩見沢公園までは高速道路で1時間半ぐらいかかる。車内ラジオのGorillazが目を閉じるしか術がなかった私には救われた。

Gorillaz - Clint Eastwood
車から出たら男子が私しかいないということで荷物を持たされる。荷物を持つこと自体には問題はない。お役に立てたかは不透明だが。
途中、写真家である伯父さんが記念写真を撮ってくれた。これが今日最大の青春であると思う。後に現像された写真を見たら笑顔がぎこちない上、ニタニタしているとも言える顔に仕上がっていたが、もうそれは誰にも否定させない事実である。
開場して早々場所取り大臣に任命された女子大生は走っていく。もうプロの技である。わかりやすい席をとってくれたそうだが私は終始迷子になっていた。セブンイレブンで買った魔剤で乾杯してそれぞれのフェスは始まった。
まずはすぐ売り切れるということでライブグッズ売り場へ向かう。そこでKANA-BOONのTシャツを買ったわけだが、気が動転してMサイズを買ってしまった。店員さんも「ほんとにこれでいいんめうか」と聞き返してきたが、いやでかい方がスタイリッシュだろという謎理論を貫いた。ちなみにそのTシャツ、着るタイミングが計れなくて今も開封していない。まあ、そのとき着たとしてもダボダボで恥かいてたと思うけど。

その後は目的のKANA-BOONまで時間があるから散策をしていた。あたりは人の海で自然っていいなと思った。そんな中でどんな感じだろとメインステージを覗いてみた。このとき演奏していたのはWANIMAであった。正直WANIMAはそこまでいいなとは思っていなかった。だがそこには廻るもの、押すもの、のし上がるもの、そこにいる人間は何か狂気を感じるものがあった。そこで私はそうか、メロコアはライブのためにあるのかと理解した(今は教養もあってそこら辺の考え方は変わった)。
KANA-BOONの前に何か見とくかということで一応2曲ぐらい聴いたことのあるbrian the sunを見た。今思えば客のノリがアレだった気もするが、まあ小さいステージだったからなぁ…。ぜひとも来年はfuture stageに行ってもらいたい。曲に関しては殆ど覚えていなかったが、最後の「ロックンロールポップギャング」は唯一聴いたことのある曲の一つだったので、ベネッセの広告のように「あっ、これ聴いたことある!!」って感じで聴いた。
メインステージでは10-FEETがライブをやっていた。WANIMA同様の盛り上がりよう。後にも書くが、何故このクラスのバンドをトリにしなかったのか。10-FEETが終わったらそくさま入場。最初、特殊なパスを持ってなかったら入れないと勘違いしていたので少し遅れた節はあるが。
KANA-BOONは「フルドライブ」の途中からさっきのような盛り上がりになったが、最初は谷口が「体育会系バンドが2組続いたあとに文化系の僕らがやって来ました」と言っていた通りスロースタートだったような気がする。私は「なんでもねだり」の2番のサビの入るタイミングを間違って歌ってしまった以外は最強であった。

あるあるかどうかはわからないが、ライブフェスって昼食疎かになりませんか?1回しか参加してない身が言うのもなんだけど。
KANA-BOONが終わったあと私は激しい空腹には意外と襲われず、代わりに喉の乾きが生じた。人間は水で出来ているので、補給はしなくてはならない。しかし飲み物売り場は長蛇の列を成している。自販機を探しても一時的に閉まっているのだろうか見当たらない。どうすれば良いか悩んで歩いているとき、ふと光が射した。

いちごみるく 500円」

いや、いちごみるくかどうかは忘れてしまった。ただマンゴー味もあったことは覚えている。一応そこそこ並んでいたけど、危機的状況だったので並んで飲んだ。美味しいかどうかは覚えていない。ほんとにやばかったから。

パンフを見たらfuture stageがそこそこ豪華だったのでBLUE ENCOUNTから見ることにした。その前はTHE ORAL CIGARETTESだったのだが、当時は聴いたことがなかったのでただ横耳で聴くことにした。「ああ、たしかにアイドルっぽいな」と思った(HOWL BE QUIETと混同していたと思われる)。
BLUE ENCOUNTは盛り上げ方が上手いなと思った。MCは少々の臭さはあったものの生だとやはりいい。唯一聴いたことがあった「Day × Day」はイントロを記憶していなかったので、出遅れた感があった。リハーサルでは「HEY!」ともう1曲を演奏してくれた。
その次はKEYTALK。チケットがなかなか取れないそうなのでこれで見る機会はないだろう。ライブ中はペイの顔が面白かったことだけを覚えている。あと「願って寸止め」を記憶してなくて「フフって一発」と歌ってしまったことと「Monster Dance」のラスサビのタイミングを間違ってしまったことを後悔している。振り付けなんて正直どうでも良い。
最後の一発はNICO Touches the Walls。光村が会場で水曜どうでしょうでお馴染みの藤村Pから貰ったエプロンをステージに持ってきてくれたのだが、今思えばすごい。客層はバンドというよりアニソン歌手として見ている人も多かったようないなかったような(いや、いた)。バイシクルという曲を初めて聴いたのだが、夕焼けも相まって良かった。今でもサビ直前になると肌が騒めく。

ニコタッチ「バイシクル」Bicycle
比較的知ってる曲も多かったので1番ノレた気がする。ただその分大事件も起きなかったので印象も薄いのも事実。

ニコタッチが終わると空は群青に染まりあがっていたので晩飯を食べることにする。ジンギスカン丼を食べようと列に並んだ。2列あったので当然短い方に並ぶ。いよいよ私の番が来て注文をしようとしたのだが、今でも私は忘れない、おっちゃんのハァンという顔が。どうやらここは受け取り口で私は「マジすか……ふーん」と言って去るしかなかった。
結局美唄焼き鳥を食らう。左ではパリピが、右では高校生カップルが騒いでいる。Twitterをいじりながらそれがどうしたという顔で食う焼き鳥は美味であった。焼き鳥が1本少なくて「1本誤魔化したなオイ」と思っていたら地べたに落っこちていたのも良い思い出(汚れていなかったのでそのまま食べた)。
さすがに間が持たんので飲み物売り場で綾鷹(200円ほど。ちなみにカバンのポケットに入れてライブでノリすぎるとどっかに吹っ飛ぶので注意)を買いメインステージ付近へ。そのときはfear,and Loathing in Las Vegasがやっていたのだが、もう言葉を選ばないでいうとレイプのようだった。皆これのために体力を使いすぎないように盛り上がっていたらしい。
これでもう目的はなくなってしまったのだが、どこか心寂しいのでfuture stageのTHE BAWDIESを見に行く。もうあたりの人は皆幸せそうだった。ここにいる人の3分の1は今日誕生日だと思う(ちなみにこの日はROYの誕生日でもあった)。己の割り込みテクを使ってどんどん前に進んでいく。最後ということもあってサビに合わせて踊り狂う試みも行われていたが、なんかすごい押されてお前の盛り上がり方は正しくねえぞと言われているようだった。THE BAWDIESは和製ビートルズといった印象で紛い物を見ている感覚に陥るから見なくていいだろうと思っていたが、JIMのギタープレイを見るとそんなこと思えなくなってきた。

見終わった直後に伯父さんから帰るぞとの電話が。急いで駐車場へ向かう。本当はメインステージのトリであるスキマスイッチも見ていいかなと思っていた。

スキマスイッチ、どうだ微妙でしょ?
ちなみに翌日のトリは前年に続いてサカナクションだった。他にもでんぱ組.incや[Alexandros ]なんかも出ていたらしい(まあ
、future stageのメンツは16日の方が良かった)。トリはロキノン枠とJ-POP枠で分かれているのかしら。「全力少年」のゼンリョク大合唱を背にシートをしまう。

全力少年 - 桜井和寿 × スキマスイッチ Bank Band - ap Bank fes 05 LIVE


晩飯を食べていたのは私だけで他の人はココスで食べる予定だったらしい。ここで私の惨めさが爆発。焼き鳥を食ったので腹に入らず残してしまう。それ以上にナイフが使えないのである。私は包焼きハンバーグを頼んだのだが、アルミホイルがぐちゃっとなってしまう。どうしようもない心をドリンクバーのアイスティーで満たす。ああ、なんでココスのドリンクバーはこんなにもぬるいのだろう。そしてなんとなく予想していた事態ではあったけど、女子大生が煙草を吸っていたのがショックではあった。

家に着く頃にはもうボロボロ。しかしライブの熱は冷めないので眠れやしない。無料トライアル中だったLINE MUSICに今回は助けられた気がする。音楽には食わず嫌いが存在する。いい音楽を機会になんかに邪魔されたくはない。いい音楽を聴く可能性を広げてくれる、それがフェスだと思う(などと)。

BECK LIVE! -FESTIVAL&MOVIE GUIDE- (KCデラックス)

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